要旨
- 従業員のバーンアウトが組織のコストとなりうることを見過ごさないこと
- 従業員のバーンアウトは従業員がどのように管理されているかに大きく左右されます
- 適切な要因に焦点を置くことにより、バーンアウトは防ぐことができます
この3部作を通じて、職場でバーンアウトする従業員と高い相関関係がある15の要因について考察します。最初にバーンアウトの上位5つの要因について議論をし、その後、次の5つの要因を経営視点で見ます。 最後に、第3部で組織が実施できるバーンアウト防止策に焦点を置いた残りの5つの要因を探ります。
多くの組織は従業員のバーンアウト危機に直面しています。最近のギャラップ社の調査によれば、7,500人のフルタイムの従業員のうち、23%がとても頻繁にまたは常にバーンアウトしていると報告されました。更に44%は時々バーンアウトしているとの回答でした。つまりこれはフルタイムの従業員のうち、約3分の2が仕事でバーンアウトを経験しているということです。
従業員にとってバーンアウトはもはや仕事の一部であり、バーンアウトのコスト負担は組織にとって多大なものです。バーンアウトした従業員はそうでない者と比べ、病欠を取る可能性が63%高く、また、積極的に転職活動を行う可能性は2.6倍です。仮に従業員が組織に残っても、燃え尽きた従業員は自分のパフォーマンスについての自信が13%低く、パフォーマンスの目標への取り組み方について管理者に相談する可能性は半分です。
要約すると、従業員バーンアウトは従業員個人と組織のパフォーマンスを下降傾向に押し下げるきっかけとなり得ます。
そして想定内の現象ですが、バーンアウトの影響はオフィスに留まりません。バーンアウトの度合いが継続して高い従業員は長時間労働のため家族に対して責任を果たすのが難しいと2倍以上の可能性で「強く同意」します。さらに恐ろしいことはバーンアウトした従業員は緊急処置室を訪問する可能性が23%高いです。
この結果は従業員を気遣っている組織のリーダーにとって難題を投げかけます。従業員には燃え尽きて欲しくないものの、同時により高い生産性と業績を従業員に求めます。
ただし、ほとんどの場合これは誤った二分法です。 従業員のバーンアウトを引き起こす主な要因は勤勉さとハイパフォーマンスへの期待とはあまり関係がありません。むしろ、従業員がどのように管理されているかが鍵です。
リーダーがバーンアウトを減少させるために注力すべき5つの要因
弊社の研究で次の5つの要因がバーンアウトと最も高い相関関係があることがわかりました。
1. 不公平な扱いを仕事で受ける
従業員が仕事で不公平な扱いを受けているに強く同意する場合は、バーンアウトを経験する可能性は2.3倍です。不公平な扱いとは偏見、えこひいき、同僚による嫌がらせ、不公平な報酬や企業方針などです。
従業員が管理者、チームメンバー、経営陣などに対する信頼を失うと、仕事を有意義と思う心理的な絆が断たれます。
2. 過度な仕事量
コーチは「メンタル・クイックサンド」(精神的な流砂)というスポーツ心理学の用語を使用してパフォーマンスが悪い瞬間にアスリートが圧倒される気持ちを表現します。これはパフォーマンスをさらに低下させ、自信を損ない、さらにアスリートを落ち込ませます。高いパフォーマンスの従業員は管理不能な過度な仕事量を与えると、見方がすぐに楽観的なものから絶望的に変わることがあります。
仕事量がコントロールできなくなると、従業員は達成できること、できないことまたは支援者を探すのに管理者を頼ります。
3. 役割が不明確
弊社の最近の 「米国の職場状況」(State of the American Workplace)レポートによれば、自分が仕事で何を期待されているか理解している、に強く同意する従業員は60%に過ぎませんでした。責任と期待される目標が常に変化する場合、従業員は何が求められているかを考えるだけで疲弊してしまいます。
最も優れたマネジャーは責任とパフォーマンス目標について従業員と話し合い、従業員に対する期待を明確にすると共に目標についても合致するように協力をします。
4. 管理者とのコミュニケーションとサポートの欠如
何かおかしいと従業員が察知しても、マネジャーからの支援と頻繁なコミュニケーションがあれば、管理者は味方とみなされ、従業員の心理的なクッションとなります。マネジャーがサポートしてくれると感じている従業員は定期的にバーンアウトする可能性が70%少ないです。
一方、放置主義で敵対的なマネジャーは従業員を情報不足にし、孤立させ、防御的にします。
5. 不当な時間的プレッシャー
従業員がしばしばまたは常に全ての仕事を完了する時間があると回答する場合、高いバーンアウトを経験する可能性は70% 低いです。もちろん、パラメディックや消防士のような職種によっては常に時間に追われます。このような職種に就いている人々は高いバーンアウトリスクに晒されています。その他の業種では質の高い仕事をするまたは優れた顧客サービスを提供するために必要な時間がわからない人々が無理な時間の制約を従業員に課します。
非現実的な期限やプレッシャーは雪だるま式に増大し、度を超えた締め切りを一つでも逃した従業員は次の期限にも遅れます。
バーンアウトは回避できないものではありません。
バーンアウトは回避できます。そして従業員をどのように管理、リードするかによって回復させることもできます。従業員のバーンアウトの真の要因を組織として取り上げない限り、従業員が自信を持って、最高のパフォーマンスを発揮できる職場とはいえません。
従業員が高いパフォーマンスを出すためのエネルギーを枯渇している場合、組織における意思決定、顧客サービス、品質管理、イノベーションなども同様です。
限られた経営資源でバーンアウトを減少させなければならないリーダーは以上の5つの要因に注力することにより投資に対して最も高いリターンが得られるでしょう。そして、本シリーズ第2部は従業員のバーンアウトを予測する次の5つの要因とマネジャーの役割のインサイトについてです。合わせて是非、お読みください。
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