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従業員体験に関する世界最大規模の調査

従業員体験に関する世界最大規模の調査

ジム・ハーター博士は、

「それは経営者次第じゃないか!」

1998年に、エコノミスト誌はこう題した記事の中で「『優れた経営』というのは、多くは卓越した企業文化を持つ『優良』企業だけが実現できるというのが経営専門家の間では定説となっている。[中略]しかし、今では大規模な統計調査によって、優良企業という考え方に疑問が投げかけられている」と報じています。

この大規模な統計調査とは、ギャラップによる職場文化と業績に関するメタ分析の初期の調査です。この調査では、『優良』企業を含む大企業の中においても、チームによって従業員の職場体験に差異や偏りがあることが明らかになりました。また、こうした差異や偏りは、チーム内での業績や従業員の定着率に関連していることも判明しました。

ギャラップによる同調査は、その後四半世紀以上にわたり11回の更新・再調査がされており、一部は権威ある学術誌にも掲載されています。

1998年に実施された最初の調査では、24社から2,528の事業部門とチームを対象としました。その後、調査の対象は拡大し、現在までに183.806事業部門を対象とした736の調査を行いました。またギャラップでは、従業員のエンゲージメントとウェルビーイングに関するトピックについて、6,400万人の従業員を対象として調査を実施しています。従業員に関する代表的なサンプリングは世界で唯一のものであり、毎年「世界の職場の現状(State of the Global Workplace)」レポートを発行しています。

ギャラップは25年間の調査で何を明らかにしたのか?

従業員エンゲージメントとは、仕事や職場に対する関わり方や従業員がもつ熱意のことを指します。ギャラップでは、「役割の明確さ」「リソースの豊富さ」「成果に対する評価」「職場における成長」「意見の尊重」「会社のミッションや目的とのつながり」「同僚との関係」「仕事の進展具合」など、職場体験に関する12の項目によってエンゲージメントを測定しています。これらの12の職場体験はギャラップQ12と呼ばれ、パフォーマンスの成果と密接に関連しています。入社前、入社時、パフォーマンス管理、キャリアアップ、そして退職に至るまで、従業員のライフサイクルのすべてのステージにおいてこれらの職場体験は極めて重要です。ギャラップQ12は高水準の評価指標であり、企業はこの指標を活用し改善を示すことで、明確なバリューやプラス効果を得ることができます。

現代でも変わらない事実とは?

ある企業の特定のチーム内で見られる従業員エンゲージメントの差異は、その企業全体のチームにおける従業員エンゲージメントの差異とほぼ同程度です。この差異の原因の70%は、マネジメントの質の違いによるものです。チーム・エンゲージメントは、業界や地域を問わず、顧客からの評価、生産性、従業員の定着率、安全性、収益性などの業績と密接に関連しています。

ギャラップの最新の調査では、エンゲージメントが高い上位25%の事業部門では、下位25%の事業部門よりも23%高い利益を達成しています。その主な理由として、欠勤の減少、離職率の低下、盗難の減少、事故の減少、欠陥商品やミスの減少、顧客満足度と生産性の向上などがあります。また、エンゲージメントが高い事業部門は、従業員のウェルビーイングも高く、企業の取組みへの関わり方も優れていました。

ギャラップの調査結果に加え、さまざまなデータソースや調査者による多くの学術研究や論文が、ギャラップの調査結果を裏付けています。1

なぜメタ分析が重要なのか?

メタ分析とは、複数の研究から得られた結果を組み合わせて、単一の研究よりも強い結論を導き出すために用いられる統計手法です。メタ分析の特徴は、従業員エンゲージメントと業績との関係が、企業、業界、地域、時間にかかわらず一貫性を持つかどうかを検証できることです。

多くの経営者は、どのような経営施策で投資対効果が重要であると考えますが、メタ分析では、その経済的な利益を予測することが可能です。

最近発表された複数の研究では、従業員の意見を集めたデータと企業の財務パフォーマンスに関連性があることが報告されています。従業員から集められたデータは、企業全体の従業員の声を十分に反映しにくい傾向があります。ギャラップのメタ分析では、企業ごとの調査データを使用しており、平均回答率は80%を超えているため、企業内の事業部門やチーム全体の組織文化をより正確に推定し、同じチームのパフォーマンスや定着率と比較することを可能にしています。このようなレポートや分析は、従業員から集めたデータでは不十分なため信頼性が著しく損なわれてしまいます。

ギャラップが調査を継続する理由?

ギャラップがメタ分析に新たな調査を追加することで、アナリストは調査結果の範囲や、さまざまな業界や地域の調査規模を拡大し、変化する時代において従業員の体験が及ぼす影響を検証することが可能になります。

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この調査が経営者にとって非常に重要な理由?

経営者が最も重視する自社の株価や収益は、組織内でのチームの成果によって大きく左右されます。こうした財務上の成果は、顧客満足度、優秀な人材の確保、生産性、仕事の質、事故やその他のリスク回避など、さまざまな要因から成り立っています。

過去のメタ分析では、ギャラップが提唱する12のエンゲージメント項目のそれぞれと、事業部門の業績との間に密接な関係があることが明らかとなりました。2チーム・エンゲージメントと業績、あるいは従業員の定着率との関係性は、不況や新型コロナウイルスの大流行などの困難な時期には、より強固になります。エンゲージメントの高い企業ほど、厳しい状況に対するレジリエンス(耐性)があるといえます。

ギャラップの調査によると、この評価指標は、経営者が最適な戦略、円滑なコミュニケーション、管理職の育成、説明責任などを実行することで、時間の経過とともに大きく変動します。ギャラップが調査した最も評価の高い組織は、従業員のエンゲージメントが70%以上に達しており、これは世界平均の3倍以上に相当します。

企業の経営者は、山積する課題に日々直面しており、その責任はかつてないほど重く、経営者としての判断や方針が受け入れられずに成果に結びつかないことは珍しいことではありません。これは多くの場合、管理職が率いるチームが互いに連携していなかったり、組織としての目標を共有していなかったりすることが原因です。そのため経営者は、あらゆるレベルで優れたマネジメントを行い、企業文化を築かなければならないのです。

ギャラップの数十年にわたる企業文化と業績に関する調査は、経営者がマネジメントの質を継続的に向上させるシステムを構築することで、財務的・社会的目標を達成できる優れた企業文化を持つ優良企業を作り上げることができることを、科学的根拠に基づいて示しています。従業員に最も近い、優れた管理職が、業績を最大化するための鍵なのです。

エンゲージメントに関する確かな知識を活かして、企業の戦略的意思決定の質を向上させましょう:

Author(s)

ジム・ハーター博士は、ギャラップのワークプレイス担当チーフ・サイエンティストであり、著書『Culture Shock』、『Wellbeing at Work』、『It's the Manager』、『12: The Elements of Great Managing and Wellbeing: The Five Essential Elements』のベストセラー作家です。彼の研究は New York Times紙のベストセラー『First, Break All the Rules』でも紹介されています。ハーター博士は1,000件以上に及ぶ効果的な職場に関する研究を主導しており、その中には人間の潜在能力と事業部門の業績に関するメタ分析も含まれています。ハーター博士の研究は Harvard Business Review、The New York Times、The Wall Street Journalなど、多くの媒体や著名な学術誌に掲載されています。


Gallup https://www.gallup.com/jp/653543/%25E5%25BE%2593%25E6%25A5%25AD%25E5%2593%25A1%25E4%25BD%2593%25E9%25A8%2593%25E3%2581%25AB%25E9%2596%25A2%25E3%2581%2599%25E3%2582%258B%25E4%25B8%2596%25E7%2595%258C%25E6%259C%2580%25E5%25A4%25A7%25E8%25A6%258F%25E6%25A8%25A1%25E3%2581%25AE%25E8%25AA%25BF%25E6%259F%25BB.aspx
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