要点
- マネージャーにとってテレワークで働く従業員は欠かせない存在であり、テレワーク従業員特有のニーズを汲む必要がある。
- テレワーク従業員の成功の鍵は:個別の対応、明確な期待値、信頼の醸成、才能を信じることにかかっている。
リーダーの最も重要な仕事は適切なマネージャーを選定すること。
従業員エンゲージメントスコア差の最低でも70%はマネージャーに起因し、エンゲージメントと生産性の関係性は強い。特にテレワーク従業員のマネージャーは普段ほとんど会わない、知らない従業員に関与するのは大きなチャレンジである。この課題はますます注目を浴びている。現在、ギャラップ社の「米国の職場状況レポート」(原題:State of the American Workplace)によれば、米国では従業員の43%がオフサイト(オフィス以外)で部分的に働いている。
スタンフォード大学の研究によれば、テレワーク従業員の生産性の向上は1週間で一人当たり、一日に相当するとのことである。また、テレワーク従業員は平均してオフィスで働く従業員より、燃え尽きる割合が少なく、色々な意味でエンゲージしやすい。
このため、リーダーはテレワーク従業員の貢献を無視せず、テレワーク従業員特有の管理方法・ニーズを考慮する必要がある。
テレワーク従業員の生産性向上は1週間で一人当たり、一日に相当する。
ギャラップ社の職場に関する研究によれば、マネージャーはテレワーク従業員を最大活用するために、 以下の項目に注意を払う必要がある。
1. 個別に対応
テレワークで一部の従業員は孤立を感じる一方、解放されたと感じる従業員もいる。テレワーク従業員によっては 24/7(24時間、週7日)仕事ができることを歓迎しており、他方オフィスと家の区別を必要とする従業員もいる。従業員によっては夜中に仕事をするのが最良であるが、他の従業員はオフィス就業時間を厳守している。テレワーク従業員の働き方や理由づけを受け入れることによりマネージャーは会社に代ってより良いコーチングができ、オフィス外労働のメリットを享受できる。テレワーク従業員に個別対応することにより、従業員はエンゲージメントの基本要素である「人間として自分は気遣ってもらっている」と感じることができる。
2. 明確な期待
人間というのはその場の雰囲気から多くの学びを得ているため、オフィスで過ごす時間が減少すると従業員はマネージャーが何を期待しているか分かりづらくなる。このため、マネージャーは従業員に何を期待しているかを明確にする必要がある。仕事の条件設定、締め切り、業務の測定は細かく定義し、マネージャーの考えも表す必要がある。例えば、マネージャーが週間進捗レポート、電子メールには迅速な返信を必要としている場合は、その旨を従業員に伝え、従業員に責任を持って提供してもらう。
3. 信頼の醸成
マネージャーは従業員との約束を守り、頻繁な対話を通して個人レベルで信頼を醸成する。特に入社時には対面の時間を持ち、人間関係を樹立した上で対面の面談を1年に1回実施して信頼を醸成する 。対話は仕事を離れた場でも良いが、ビジネス場面の対話は必ず必要である。テレワーク従業員と見える形で関係性を持つことも信頼醸成に役立つ。 何かあった場合相談をする、という視点をテレワーク従業員は欠くため、相談者を知ることにより、生産性は高まり、成長も促進する。この場合、マネージャーがテレワーク従業員の重要なネットワークの一員・相談役となることにより信頼は高まり、テレワーク従業員の成功に不可欠な要素となる。
4. 才能を信じる
他の要素と比べても、パフォーマンスの鍵を握るのは才能である。 マネージャーにとって従業員の資質や潜在能力を識別するクリフトン・ストレングスレポートは重要な財産となる。とはいえ、その才能を遠隔から開発するには努力、創造性、機転や多くの会話が必要である。個人に沿った仕事を与えることにより、才能を強みに成長させ、ビジネス上の結果も改善できる。同時にマネージャーはテレワーク従業員の意見を常に聞く必要がある。距離は多くの場合、価値ある別の視点を提供し、才能あるものからの意見は特に有意義なフィードバックが得られる。
リーダーができる最も重要なこと
全ての従業員が良い仕事をするためにはギャラップ社のQ12が測定する「エンゲージができている職場」の基本的な要素が必要である。優れたマネージャー達はエンゲージメント、生産性、利益の向上とその他収益課題に当たって、いくつか基礎的な資質を共有する。
公平に見ても、テレワーク従業員のベストマネージャーであっても全てのテレワーク従業員に対して、それを実行しているわけではない。効果的なマネージャーには自然と備わっている才能がある。
リーダーはそのような才能に気づくべきである。ギャラップ社の最近のベストセラー本「It's the Manager」によれば 従業員の53%はワーク・ライフバランスが仕事において非常に重要であり、ミレニアル世代の63%はフレックスタイムのために転職をする。そして、多くは僅かな昇給とテレワークとの二者択一であれば、自宅で働くことを選ぶ。
現在、従業員によれば、職場でフレックスタイムを選択できるのは44%であった。 既に現在51%の従業員はフレックスタイムを選べるなら転職をすると言っている。労働市場がますます逼迫(ひっぱく)する中、テレワークがもはや特典ではなく、優秀な人財確保の一部として期待されるものと認識し、リーダーはそれを提供する必要がある。そして、才能あるテレワーク従業員に対して適切でないマネージャーを置くのは論外である。
もっとも、どのような場合でも不適切なマネージャーを置くべきではないことは明白である。ビジネス上あまりにも打撃が大きい。更に、テレワーク従業員を効果的に管理するためにはその個人にあった方法が必要である。そのため、テレワーク従業員を管理するマネージャーの選択に当たってもそれを考慮する必要がある。
ビジネス上の長期的なインパクトが最もあるのは働く場所に関わらず、従業員にそばで影響を与える人々である。
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